書籍書評(ブックレビュー)

書評『ランチェスター戦略「営業」大全』福永雅文著

ランチェスター戦略「営業」大全

人にはそれぞれ個性や特性がありますよね。
各人がその人なりに自覚しているものなので、人生経験の様々な場面に影響してきたはずです。

  • 学生時代の部活動の選択
  • クラスの委員を決めるとき
  • 高校や大学選び
  • 就職先や職種選び

etc...

私の個人的な話で恐縮ですが、幼いころから引っ込み思案で人前に出るのは苦手。
運動能力は人並み以下、学力もそれほど高くないし、メンタルは打たれ弱い。
ですから、目立たないような選択を続けて生きてきました。

このような私が、高校生の時に「適職診断」なるものを受けたことがありました。
自分がどのような仕事に向いているのかの目安になるものでした。

私が通っていた高校の進学と就職の割合は、4:6くらいだったろうと思います。
そのため「適職診断」が行なわれたのかもしれません。
残念ながら、結果は覚えていませんが...。

それでも人は、自分の個性や苦手意識などの傾向を変えることができるのですね。
私は高校卒業と同時に上京し、昼はガソリンスタンドで働き、夜は大学に通う選択をしました。

ガソリンスタンドは接客業ですから、はじめのうちは少なからず無理をしていたと思います。
ですがそのうちに、だんだんと性格面での変化を感じるようになりました。
人と接することに免疫力ができたのかもしれません。

その後、複数回転職しいろいろな職種を経験したのですが、どうしても自信を持てない職種がひとつありました。
それが「営業職」だったのです。

勝手なイメージかもしれませんが、営業職はノルマがきつくて、しかも飛び込みでの営業なんてもっての外。
自分には絶対的に不向きだと思っていました。(きっと不向きです…)
自分にはできないことに取り組んでいる営業職の方には尊敬の念を抱いていました。

そのような私ですが『ランチェスター戦略「営業」大全』という書籍と出会って、少し考え方が変わってきました。
この書籍に書かれているような戦略を持った企業で、自分の苦手な部分を明確にしたうえでトレーニングしてもらうことができたら、営業のプロにはなれないまでも、営業職への苦手意識は無くなったかもしれないと思うことができたのです。

「気合」という名のパワハラ的指導や「とにかく頑張れ」といった根性論ではなく、理論的な指導があれば、素人でもステップアップしていけるはずだからです。

この記事では、『ランチェスター戦略「営業」大全』から学んだエッセンスをご紹介します。
営業未経験の私の書くことですから、非現実的な部分があるかもしれませんがお付き合いいただけると幸いです。

私が手にしている福永雅文氏の著書『ランチェスター戦略「営業」大全』は、日本実業出版社のご厚意でご献本いただいたものです。

すばらしい本との出会いと機会をいただきましたことを、心から感謝申し上げます。

就職する際に営業職を避けていた人間の率直な感想

上述したように、私は「営業職」に苦手意識を持ち、仕事選びの際にも避けてきました。
そのことを後悔しているわけではありませんが、『ランチェスター戦略「営業」大全』に書かれているような知識を持っていたら、チャレンジしてみたいと思えたかもしれません。

本書を通じて、会社全体がランチェスター戦略を実践しているかどうかに関わらず、個人でも実践できる要素があることを知ることができたのは喜ばしいことでした。

本書の構成とランチェスター戦略について

ランチェスター戦略「営業」大全』は、全6章で構成されています。

ランチェスター戦略の基本から、具体的な営業政策、さらには営業員の状況を把握するための方法(もちろん戦略の一部として)、営業をチームで行なうことのシナジー(相乗効果)まで言及されています。

各章の終わりには、その章での重要事項をチェックできる仕組みになっています。
記憶の定着にも活用できて、実用的だと感じました。

個人的には第6章「ランチェスター営業戦略編」が興味深く、これを学べば「営業職」に就けるかもしれないと思えるものでした。

ランチェスター戦略とはビジネスにおける競争・販売戦略における理論と実務体系です。

ランチェスター戦略の成り立ちは、次の法則とモデルが源流となっています。

ランチェスター法則

第一次世界大戦中にイギリスのF・W・ランチェスターが研究した「戦闘の勝ち負けのルール」。

②クープマンモデル

第二次世界大戦中にアメリカのB・O・クープマンらによって発展した「戦争の勝ち負けのルール」。

この2つを日本人の田岡信夫氏(1927~1984)と統計学者 斧田大公望氏がビジネスに転用し、「ランチェスター戦略」が確立されました。

ランチェスター戦略は、弱者の戦略と強者の戦略を明確にし、市場占有率におけるナンバーワンを目指すことを中心に構築されています。

ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則との関係

私は『新版 ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』という本を先に読む機会にあずかっていました。
そのうえで『ランチェスター戦略「営業」大全』を読むことができました。

タイトルからして、「営業」についてより掘り下げて書かれていることは容易に想像できました。
さらには『新版 ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』では取り上げられていなかった概念が盛り込まれていたので、楽しく読むことができました。

勝手な感想としては、『新版 ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』は、さまざまな企業や歴史の実例がふんだんに盛り込まれているため、はじめてランチェスター戦略に接する方におすすめの書籍。

それに対して『ランチェスター戦略「営業」大全』は、本気でランチェスター戦略を実践したい企業・営業マン向きだと思います。
日本のエリア毎の攻略法なども盛り込まれていて、ビジネス戦略には「こういった視座・視点が必要なのか」と感じさせられました。

私は1冊の本を何度も読むことを心がけています。
今後は、自分が取り組んでいるビジネスにランチェスター戦略をどのように活用できるかを研究し、具体化していきたいと思っています。

最後に著者の福田雅文氏の言葉をご紹介したいと思います。

営業の仕事で成果を持続的に上げ続けるために一番大切なことは何でしょうか?営業員の気合いや対人関係能力や体力でしょうか。もちろん、必要です。ですが、それら個々の営業員の質や活動量は戦術レベルのことです。戦略が間違っていては、いくら営業員が頑張っても、その成果は限定的です。個々の営業員の奮闘努力を実り多いものにするもの、それが戦略です。営業で一番大切なことは戦略なのです。

出典:『ランチェスター戦略「営業」大全』福永雅文著 日本実業出版社 1ページ

本書には営業戦略についての詳細が、わかりやすい解説とともに記されています。
たとえ規模の大きくない会社でも、縮小傾向にあるこれからの日本経済のなかで生き残っていく術が見つかるはずです。

まとめ

ランチェスター戦略「営業」大全・書評
  1. ランチェスター戦略の概要だけでなく、営業の実務面に応用しやすい構成になっている
  2. 具体的に取り組みやすいように、順を追って解説されている
  3. 営業マン自身も読むことで、更なるステップアップが期待できる

ランチェスター戦略関連の書籍を2冊読む機会に恵まれたことは、今年の自分にとって大きな財産になったと感じています。

あとは、自分のビジネスにいかに応用するかが正念場です。
これからも自分に当てはめながら、ランチェスター戦略関連の記事を書く予定です。

的外れにならないよう注意しつつ、自分のビジネスの目的を明確にして、それを達成するための方法を具体化していきます。

「戦略の失敗を戦術で取り返すことはできない」

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