書籍書評(ブックレビュー)

低価格競争は避けられる?「高く売る」ためのマーケティングの教科書 大﨑孝徳著【書評】

「高く売る」ためのマーケティングの教科書

アフィリエイトに取り組むようになってから、マーケティングについて学びたいと思うようになりました。

もう四半世紀ほど前、大学生だった私。
商学部でしたが経済学部の科目も選択可能でした。
しかし仕事が終わったあとに通学していたため、単位を取得することしか考えていませんでした。
経済学やマーケティングなどをもっと学んでおけばよかった…。
志の低さが今になって悔やまれます。

アラフィフと呼ばれる年齢になってから、ランチェスター戦略などのマーケティング関連の書籍を読むようになりました。

今回ご紹介したいのは大﨑孝徳氏の著書「高く売る」ためのマーケティングの教科書です。

書籍名にある「高く売る」に心惹かれました。

縮小傾向にある日本のマーケット。
値引き競争してでも自社商品を商品棚に陳列して欲しいと思っている企業は少なくないことでしょう。

そのような状況の中、「高く売る」ことは本当に可能なのでしょうか?

この記事では「高く売る」ためのマーケティングの教科書から学んだ、目から鱗が落ちるようなエッセンスをご紹介します。

私が手にしている『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』は、株式会社 日本実業出版社のご厚意によりご献本いただいたものです。

すばらしい本との出会いと機会をいただきましたことを、心から感謝申し上げます。

高く売るためのマーケティング ポイント3選

まずは「高く売る」ためのマーケティングの教科書から学んだエッセンスを3つに絞ってご紹介します。

私が取り組んでいるアフィリエイトは、基本的にモノづくりの要素はありません。
販売サイトや情報商材を作ることは無いとは言えませんが…。

とはいえ、マーケティングに対しては当事者意識を強く持つ必要があると思っています。
1クリック数百~数千円でPPC広告を打つことだってあるからです。

■PPC広告とは?

クリックされることで料金が発生する検索連動型広告の一種です。
1クリックの単価は検索キーワードと関連付いていて、広告を出したい人のニーズが高ければ料金も高くなります。
需要によって変動するオークションのようなイメージです。

会社のお金を使って広告を出すことにも責任感は伴いますが、個人でアフィリエイトに取り組んでいる場合、自分の財布から広告費を捻出することになります。(広告に頼らない方法もあります。)
生活が懸かっているのですから、当然のごとく当事者意識も高まります。

私は次のような気持ちで「高く売る」ためのマーケティングの教科書を読ませていただきました。

  1. アフィリエイトサイトやブログに訪問者を増やすために、マーケティングの知識&知恵を得たい!
  2. アフィリエイトで紹介するべき商品かどうかを見極める視点と視座の強化。

お待たせしました。
それでは、私にとって目が開かれる思いをしたエッセンスの紹介に移りますね。

高く売るためのマーケティング① 消費者が共感するつくり手のこだわり

「高く売る」ためのマーケティングの教科書では、プレミアムのマーケティング・ミックス(超4P=1P+3P)が紹介されています。
この「4つのP」とは次の要素の頭文字です。

  • Product(商品)
  • Price(価格)
  • Place(流通)
  • Promotion(プロモーション)

モノを高く売るための基本には、他の同ジャンルの商品と比べて圧倒的ともいえるほどの機能的価値を持つ商品開発が含まれています。

しかし、どうやらそれだけでは不十分なようです。
重要なのは「つくり手のこだわりの詰まった商品」の開発なのです。
価格決定は「あとで帳尻を合わせる」ことに。

結局のところ「4つのP」全てが関連してくるのですが…。

私が感銘を受けたのは、つくり手のこだわりが凝縮された商品を用意したうえで価格はなんとか帳尻合わせをするということ。
このような商品であれば、アフィリエイトでも紹介させて欲しいと感じることでしょう。

立場を逆転させて考えるならば、私がサイトや商品(今のところ予定はありませんが)を作る際には、他のサイトやブログとキッチリ差別化できるような、こだわりや思い入れが必要ということになります。

そのためには、どのようなことができるのでしょうか?
考えてみました。

  1. とことんサイト訪問者の役に立つための情報提供
  2. 失敗談も含めた実体験の紹介
  3. 視覚で直感的に理解してもらうための画像や動画の活用
  4. 圧倒的なサイトデザイン(見た目の美しさ&カッコよさ)
  5. サイトの圧倒的な使いやすさ(カテゴライズや機能面、表示速度)

③~⑤については、自分一人のチカラでは実現できなさそうです。
しかし①と②については、すぐにでも改善に取り掛かれるはず!

「高く売る」ためのマーケティングの教科書には、成功している企業の共通点が記されています。

もちろん、商品やサービス、企業の社風、担当者の個性により、話の内容は様々であったが、共通しているのは、「この商品やサービスは、この会社で愛されている」と感じる点であった。すなわち、これがうまくいっている企業の共通点ということだ。
逆に言えば、自分たちが愛していない商品やサービス、そして会社が、他者である顧客から認められるわけがない。

出典:『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』大﨑孝徳著 日本実業出版社 199ページ

このようなぶれないスタンスでサイト運営に取り組めば、万人受けはしないまでも一部の方々には熱烈に支持してもらえるようなサイト構築ができるのではないか。

モノ(商品)を直接開発するわけではないとしても、取り組むべき課題だと感じました。

高く売るためのマーケティング② 売るのはモノだけではない

突然ですが。、ジミヘンをご存知ですか?

1960年代にイギリスでブレイクして、母国アメリカに凱旋帰国したギタリスト&シンガーソングライター「ジミ・ヘンドリックス」のことです。

私が生まれる前に亡くなったので、過去の録音媒体や映像作品、書籍などでしか知りませんが、エリック・クラプトンやジェフ・ベックといった有名アーティストたちにも多大な影響を与えた人物です。

そんなジミ・ヘンドリックスが結成したバンドが「ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」でした。
さらには「アー・ユー・エクスペリエンスト?」というアルバムを出しているのです。

なぜジミヘンの話をしたのか?

それは、「エクスペリエンス(体験・経験)」について考えたかったからでした。

「高く売る」ためのマーケティングの教科書では、「モノをコト化させる」というマーケティング戦略について言及しています。

その成功事例として、スタバが採り上げられています。
スタバはおいしいドリンク(モノ)だけでなく、オシャレな空間で過ごせる(経験)も提供することで、消費者に値段の高さを受け入れさせることに成功しています。

もしもの話ですが、私が自分の運営するアフィリエイトサイトを訪問した方に対して、何がしかの優越感に浸れるような経験を提供できるなら、「モノをコト化させる」ということになるのかもしれません。

文章(文字)や画像、動画などを用いて、どのようにして実現させることができるのかはわかりません。
しかし、ベネフィットをイメージさせることも関連しているように思います。

もしくは小説家のファンがその作品を読むこと自体に喜びを感じるように、サイトを作品と考えて何がしかの価値を付加させることができるのかもしれません。

このようになってくると、私自身のブランド化を目指す必要性が出てきそうですね。

高く売るためのマーケティング③ 稼ぐための仕組みを構築する

テレビショッピングというジャンルで、ブランド化に成功した企業といえばジャパネットたかたがありますよね。

「高く売る」ためのマーケティングの教科書には、「ジャパネットたかた」の稼ぐための仕組みが紹介されています。

消費者の視点に立った商品の訴求力はバツグンです。
テレビやラジオのスタジオまで造り、番組制作も自社スタッフが行なう徹底ぶり。
さらには、ジャパネットオリジナルのおまけまで用意することで、他者との比較をさせない戦略は勉強になります。

私にはテレビショッピングに対して、常々ある疑問を抱いていました。
それは、テレビでモノを売って、どれくらい儲かるのか?ということです。
商品の種類や原価、はたまた放送するための費用によって差はあるので、一概には言えないのかもしれません。

「ジャパネットたかた」には、損失のリスクを減らすための仕組みが存在しているというのです。
その一部をご紹介します。

広告には媒体によって費用に差があります。
安いものでは新聞の折り込みチラシがありますし、地上波のテレビは費用がかさむはず。

実は「ジャパネットたかた」では、広告費用の安価な媒体で売れたものを、より費用の掛かる媒体で紹介していくという、損失を出しにくくする仕組みがあるというのです。

売れないことによる損失リスクを減らすために、ここまで考えられているのですね。

競合との差別化を実現するために

「高く売る」ためのマーケティングの教科書

アフィリエイトでも「競合サイトとの差別化」することの重要性が広く説かれています。
しかし、差別化は非常に難しいことです。

キーワードをずらす」とか「尖ったサイト作り」といったことがその具体的手段になると思いますが、わかっているつもりでも理解しきれていないので再現できないのです。

「モノを高く売る」あるいは「高い商品でも購入してもらえる」ようにするために、是非とも身に着けたい要素です。

「高く売る」ためのマーケティングの教科書では、女性をターゲットにしたヘッドフォンの例が紹介されていました。

自社商品を他社のそれと同じ土俵に並べない工夫とはこういう発想なのか?と、目が覚めるような話でした。
このような視点・視座こそ、同ジャンルの商品との機能面での比較をさせないための差別化だと言えます。

興味のある方は、「高く売る」ためのマーケティングの教科書でご確認くださいね。

マーケティングとその限界について

「高く売る」ためのマーケティングの教科書

そもそもマーケティングは、「顧客満足の最大化」を目的としています。

しかし「高く売る」ためのマーケティングの教科書を読みはじめるとすぐに、次のような文章と出会うことになります。

結論から述べると、消費者や取引先といった社外の者が大きな決定権を持つため、あるいは、そもそも、未来のことは誰にもわからないため、100%きっちり、うまく回るマーケティングなど存在しない。
だからと言って、ムニャムニャ言って終わらせてよいわけがない。言うまでもなく、何事に対しても、「人事を尽くして天命を待つ」というスタンスは、ビジネスの基本中の基本であることは間違いない。

出典:『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』大﨑孝徳著 日本実業出版社 7ページ

う~ん?となってしまいますよね。
そこでもうひとつ引用させていただきます。

このように考えると、「何はともあれ、顧客志向」という発想は疑う必要がある。
まずは、「自分志向」、つまり、「自分たちが思い描くすべてのことを完全に実行した後に、顧客への適応を試みる」という発想が、競合他社を圧倒する「差」をつくり、商品やサービスを高く売るマーケティングにおいて重要なポイントになるかもしれない。

出典:『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』大﨑孝徳著 日本実業出版社 209ページ

ただ単に対象となるであろうユーザー層の要望を調査して、それを商品化するだけでは「高く売るための差別化」はできないということです。

私自身に当てはめるならば、検索キーワードを拾い集めて、競合サイトやブログを研究するだけでは、「高く売るための差」をアフィリエイトサイトで実現させることはできない、ということでしょう。

もちろん、アフィリエイトにおいて、検索キーワードや競合サイトやブログの研究は必須です。

その上で、「自分が本音でよいと思うことを紹介し、反応をサイト訪問者に委ね、その結果を受け入れて改善する。」こんなアフィリエイトサイトやブログを作ることができたら、愛情たっぷりの個性的なメディアに育っていくのだと思います。

そのように信じてアフィリエイトに励もうと思います。

この記事で紹介しきれませんでしたが、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』には「高く売るための差」につながる要素が詰め込まれていました。

自分にできることを実践しながら、何度も読み直してみようと思います。

まとめ

「高く売る」ためのマーケティングの教科書
  1. 「高く売る」という言葉に魅力を感じる。
  2. 圧倒的な差を生むためのエッセンスが盛り込まれている1冊。
  3. 安さで勝負するだけがビジネスではない!と気づかされた。

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