大人気ブロガーが出した本に今回は注目しました。
だからといってブログ関連のノウハウ本ではありません。
月山もも氏の「ひとり酒・温泉・登山・旅」への愛情がつまった著書、「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」です。
直接的にブログのノウハウを述べた本ではないのですが、読み進めるうちに文章から著者の人柄が魅力的に伝わってくること気づきました。
そして、どうしたら「個性的」で「自分らしさ」を文章で魅力的に表現できるのか?と考えながら読み進めることに。
ということで、魅力的な文章を書く秘訣を探しながら読み進めた「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」の書評をご紹介します。
- 自分と違う価値観に対する配慮
- 困ったエピソードで読者に安心感を与える
- 経験に基づいたアドバイスはタメになる
- 著者の本音(苦手だったこと)への言及が共感を生む
- 「自分の良いが、相手にも良いとは限らない」その気持ちが安心感を育む
私が手にしている『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』は、著書である月山もも氏のご厚意でご献本いただいたものです。
すばらしい書籍と出会う機会をいただきましたことを、心から感謝申し上げます。
文章を魅力的にする5つのポイント!どうしたら個性を上手に表現できるのか?

「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」に綴られた月山もも氏(以降 「さん」と書かせていただきますね)の文章に魅力を感じるポイントは何なのか?
その答えを見つけるべく、気になった個所を再度読み返してみました。
その結果、私なりに発見した「文章を魅力的にする5つのポイント」をお伝えします。
①自分と違う価値観に対する配慮
「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」という書籍のタイトルからも明らかなように、月山ももさんは「ひとり」で楽しむことにも価値を見つけていらっしゃいます。
私もどちらかといえば、人と一緒に楽しむことに対して苦手意識を持っています。
本当に気の合う人(たち)なら別として、初対面や知人程度の人とは気まずい雰囲気が発生してしまうことも多々あるのです。
それとは逆にコミュニケーション能力が高く、複数の人たちとの楽しみ方を知っている人も大勢いらっしゃることでしょう。
大切なことは「人にはそれぞれの価値観がある」ことを認める気持ちではないかと思うのです。
この価値観は文章にも顔を出し、時に誤解を生んでしまいます。
そこで大切になるのが「自分とは違う価値観(の人)を悪く言わない」ことです。
別の表現をするなら、「多様性への配慮」となるのかな。
おそらく私は、月山ももさんの文章から「多様性への配慮」を感じていたのです。
本文から「誰かと一緒でなくてもいいじゃない?」といった内容の文章を、一部引用させていただきます。
ひとりで楽しむ自分の姿を「誰かと一緒がいい」と考える第三者に見られていると感じるときに、プレッシャーに感じてしまうという箇所です。
私の感覚だと「人と共有しなければ楽しくないことって、本当は、別に楽しくないのでは?」と思ってしまうのですが、どうやらそういう「楽しむときは誰かと一緒がいい」「誰かと一緒だからこそ楽しい」と考える人は一定数いるようなのです。
出典:『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』
50ページ 月山もも著 KADOKAWA
この引用部分で月山ももさんは、自分の価値観をかなりハッキリと表現されています。
そのあとがポイントです。
「自分とは違う考えの人もいる」ということ認める文章を添えることで、結果的に自分とは違う価値観の人への配慮をされているのです。
私も自分の主張を展開する際には、ちょっとした配慮を忘れないようにしようと思いました。
②困ったエピソードで読者に安心感を与える
個人が体験したエピソードに説得力が伴うことは多々あります。
ですが…体験には表と裏が存在しますよね。
- 喜びと悲しみ
- 成功と失敗
- 出会いと別れ
といった具合です。
一般的に考えると、幸福度の低いエピソードを人に話すのことに抵抗を感じるのが普通ではないでしょうか?
もちろん私もその一人です。
月山ももさんは、自身が「入店拒否をされた経験」や「ひとり登山で他者に絡まれるかもしれないという恐怖心」等も書かれています。
このような実際の経験や困ったときの気持ちは、ときとして読み手に安心感を与えてくれます。
似たような経験の持ち主の場合はなおさらです。
加えて「いいことばかりじゃないよ!」といった警鐘は、著者への信頼にもつながります。
それが「この人の書いたものは虚飾が少ないようだ」といった安心感を生むのです。
でもその分、心を許せそうになると思うんだな。
私のこれまでの人生にも、自分の失敗を教訓としてさりげなく語ってくれた人がいました。
そのときに感じた気持ちを、文章を書く際に思い出せばいいと思ったのでした。
③経験に基づいたアドバイスはタメになる
アドバイスは、基本的にありがたいものです。
しかし…受け手側の心理状態やアドバイスの仕方によっては、面倒な自慢話に感じられてしまうもの。
どうでしょうか?
書籍やブログの場合、一方向の伝達手段のため、受け手側の心理状態まで配慮することは困難です。
意識できるとすれば、伝え方でしょう。
押しつけないアドバイスは、未経験者や初心者にとって非常にありがたいもの。
「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」の182ページくらいから、月山ももさんによる登山時の装備品購入のアドバイスが続きます。
「いい装備」について、月山さんなりの見解と経験に基づいて紹介してくださっているのです。
何かを書籍で学ぼうとしている人やインターネットで検索する人たちは、こういうためになる情報を求めているはず。
自分の経験が「全ての人」とまでは言えなくても、似たような状況や立場の人には有益な情報になるかもしれません。
気を付けようっと!
④著者の本音(苦手だったこと)への言及が共感を生む
私は正直な…少なくとも正直だと思える言葉に共感します。
共感すると相手の言葉や文章への抵抗感が薄れ、素直に受け止められる気がするのです。
「初めのころは○○に抵抗があったんです~」
「○○が苦手で、□□してもらえて助かりました!」
といった本音は共感を生んで、「自分も同じだ!」とか「最初はこんな風でもいいんだ」みたいに安心感へとつながりますよね。
これは文章や会話の中でも、相手と信頼を築くための大切な要素だと思います。
⑤「自分の良いが、相手にも良いとは限らない」その気持ちが安心感を育む
その道のプロ中のプロが「○○なら大丈夫!」と太鼓判を押してくれたら、きっと安心することでしょう。
でも…私は何かのプロではないので、そんなことは言えません。
それに、やみ雲に太鼓判も押されすぎると胡散臭さにつながりませんか?
何かをおすすめする際、「私には良かったけれど、もしかしたらあなたにも良いかも?」と思っているくらいが丁度いいのかもしれませんね。
さらには絶妙なアドバイスも必見です!
私の求める魅力的な文章とは?
多くの方は「ひとり○○」に興味を持って「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」を読まれると思います。
しかし私の場合は、普段読まないジャンルの書籍を読みたいという気持ちがキッカケでした。
途中からは魅力ある文章を書けるようになりたい!という視点で読ませていただきました。
そして書評を書き進めているうちに、私は魅力的な文章の要素として次の要素を求めていたことを再認識しました。
- 良いからといって押し付けない表現。
- 正直な気持ちで書かれた感想と他者への配慮。
- 信頼感を得られる経験やアドバイス。
- 安心感が伝わる文章。
このような主観のもと、「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」で学んだ、魅力的な文章を書くためのポイントを5つピックアップしてご紹介しました。
(自分に言い聞かせる意味合いが強いのですが…)
正直なところ、5つのポイントを身に着けるまでには時間と経験が必要だと感じています。
50歳を目前にしている現在、これまでの人生で習得した「クセ」が染みついています。
それでも人間は「良くも悪くも変わることができる」と信じて実践していきます。
(もちろん、変わるなら良い方を望んでいます。)
それに、クセも立派な個性ですもんね。
クセを魅力として表現できたら面白そうですし。
普段は読まないジャンルの書籍を読むことで、大切なことに気づかせていただいたと思っています。
久しぶりに読書で新鮮な気持ちも味わうことができました。
ありがとうございました。
著者の魅力が溢れ出る「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」の魅力

「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」の「はじめに」の数ページで、私は月山ももさんの人柄を勝手に想像しはじめていました。
書籍に限らずブログ等も含めた文章は、書いた方の人柄が少なからず感じられるものです。
しかし今回は、ここ数年感じたことのない印象を受けたことに驚きました。
驚いた理由を考えてみると、いくつか思い当たることがありました。
- ここ数年、女性の著書(小説、エッセイ等)をほとんど読んでいなかったこと。
- ビジネス関連、技術関連、ブログ関連のジャンルをおもな読書対象としていたこと。
- 著者の見解(考え方・感じ方)がハッキリと書かれているのに、押しつけがましく感じなかったこと。
- 手書き風の書体(文字?)が所々使用されていること。
「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」は、著者の学生時代のエピソードからはじまります。
次いで、ひとりで食事やお酒を楽しむことに移り、温泉、山(登山)、旅行と話が進んでいくのです。
私も地方出身者なので…
高校生時代の月山ももさんがとっても大人に感じられました。
1冊を通じて一貫しているのは「ひとり○○」ということ。
「ひとり○○」に女性の視点が加わって、個性的な世界観が展開していくのです。
大げさな表現になってしまうかもしれませんが、月山ももさんの半生を読むことになるのです。
だからといって、退屈しないのが不思議…。
話が趣味(山や温泉、お酒など)にフォーカスしているといった切り口が面白いのでしょう。
所々、月山ももさんのこだわりや個人的嗜好、考え方が述べられるのですが、不思議とこんな風に受け止めていました。
「そうなんだ~」
「あっ、わかるなぁ~」
「自分もそうかもしれないぞ!」
もちろん、全てに共感できたわけではありません。
ですが、情景や心理描写が豊富なので、うなづける部分があるのです。
「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」を読み終えて気づきました。
「あっ、僕は月山ももさんのファンになっているんだな」と。
そんな魅力たっぷりの1冊でした。
新型コロナウィルスが収束し、自由に外出や食事が楽しめるようになった先のことを色々と想像しながら、楽しく読ませていただきました。
・10代前半の人間関係。
・故郷を離れたからこそ湧き上がる感情。
etc...
まとめ

- 月山ももさんの好きなことへの愛情とやさしくて魅力的な文章を堪能できる本。
- ひとりで楽しむことが好きな人にはおすすめの1冊。
- 新しい趣味を持とうとしている人に、著者の経験やアドバイスが役立つかも。
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価格:1,540円 |